高齢者の脱水症の症状|対処法と予防についても解説
本記事では、高齢者の脱水の症状から、対処法、予防についてわかりやすく解説していきます。
脱水症とは
脱水とは、体内の水分および電解質が欠乏した病態のことで、摂取する水分よりも喪失する水分が多く体内が水分不足の状態になった際に起こります。
脱水の種類
高張性脱水(水欠乏性脱水):ナトリウム(Na)よりも水が多く失われた状態
低張性脱水(ナトリウム欠乏性脱水):水よりもナトリウム(Na)の方が多く失われた状態
等張性脱水(混合性脱水):ナトリウム(Na)と水の両方が失われた状態
高張性脱水
高張性脱水とは、食事・水分摂取量が減少したり、発汗により大量に汗をかいたときに身体から水分が多量に失われて起こる脱水です。
低張性脱水
低張性脱水とは、下痢や嘔吐などにより、水分よりもナトリウム(Na)が多く失われて起こる脱水です。
等張性脱水(混合性脱水)
等張性脱水とは、ナトリウム(Na)と水の両方が失われた状態の脱水です。
高齢者が脱水症になりやすい原因

脱水症は年齢や性別に関係なく誰にでも発生しますが、特に高齢者では脱水になりやすいため注意が必要です。
水分摂取量の低下
トイレに行く回数を減らすために水分摂取を控えたり、運動能力(歩行機能)・認知機能の低下により水分摂取の回数自体が減ってしまいます。
水分喪失量の増加
体内の水分量は高齢になるにつれ減少していきます。
小児であれば体重の80%が水分、成人は60%、高齢者では50%にまで減少します。
理由としては、基礎代謝の低下により体内で生成される水分量が減ることや、筋肉量の低下により体内で水分を蓄えられなくなるためです。
口渇中枢の感覚機能低下
高齢者は口渇中枢の感覚機能が低下し、口渇に気付かないために水分摂取量が減り、脱水症になりやすいとされています。
また、「室内にいれば脱水にならない」という誤った先入観も脱水の要因となります。
尿濃縮機能の低下
腎機能の低下とともに尿濃縮機能が低下します。体内の水分が余分に排泄されてしまうことにより、脱水になりやすいです。
内服薬の影響
また、心不全の治療のため利尿薬を飲んでいる人、腎臓からブドウ糖を排泄させる薬を飲んでいる人、降圧剤を飲んでいる人も脱水症になりやすいです。
脱水の症状
脱水は、失われた水分量によって症状の程度が異なります。

軽度
体重に対しての約1〜3%の水分(体液)が失われた状態
・のどの渇き
・発汗の減少
・皮膚の弾力性の低下
・尿の生成量の減少
・めまい
・倦怠感
中等度の脱水
体重に対しての約4〜9%の水分(体液)が失われた状態
・下痢、嘔吐
・頭痛
・微熱
・呼吸困難(呼吸数増加)
重度
体重に対しての約10%以上の水分(体液)が失われた、意識障害や臓器不全など命にかかわる危険な状態
・重度の血圧低下によるショック
・身体の痙攣(けいれん)
脱水症状のフィジカルアセスメント
訪問時、次のようなサインがあれば脱水症を疑いましょう。
・口内、舌、腋窩の乾燥
・バイタルサインの異常(微熱、血圧低下、頻脈、呼吸数の増加)
・ツルゴール反応の低下
※ツルゴール反応とは、手の甲をつまんだ際に皮膚が戻るまでの時間を確認するためのテストです。脱水により皮膚の弾力性が低下することで、皮膚がすぐに戻らなくなります。
・尿量の低下および濃度の濃い尿

『厚生労働省 あんぜんプロジェクト(編). 尿の色で脱水症状チェック.』をもとに作成
脱水症の検査
日本救急医学会によると、検査成績ではヘマトクリット値の上昇、血清尿素窒素の上昇、尿比重の上昇などが認められると述べられています。
脱水症の対処法および治療
・経口摂取での水分補給が主です。経口補水液を摂取しナトリウムを補うことが重要です。
・夏場で熱中症が疑われるときは、室温を下げ、保冷剤や霧吹きを使用し身体を冷やす。
・重症の場合は救急搬送し、非経口的投与すなわち輸液が重要です。
脱水症の予防
食事
食事の際、お茶だけでなく、汁物やフルーツを食べることで水分や塩分、ミネラルやビタミンを補給できます。
こまめな水分摂取
高齢者に必要な1日の水分量はおよそ2000~2500mlです。食事から1000ml程度摂取できるため、飲む量としては1000~1500mlが目安です。
一度に多量に飲んでも排泄され体内に蓄えられないため、こまめに少しずつ飲むことが大切です。
発汗量が多いなど脱水ではない状態の水分摂取はスポーツドリンクが望ましく、脱水が疑われる際は経口補水液を摂取するようにしましょう。
カフェインやアルコールの摂りすぎに注意
カフェインやアルコールには利尿作用があり、水分喪失量を増加させるため摂りすぎに注意が必要です。
熱中症に注意
脱水には年に2回のピークがあり、その一つが春から夏にかけて気温が上がるタイミングです。高温多湿の環境では熱中症や脱水の危険性が高まるため、室内で過ごす際は必ずエアコンで室内を冷やし、外出の際は日傘を使用して直射日光を避ける工夫が必要です。
感染症に注意
そしてもう一つのピークは、インフルエンザやノロウイルスが流行る秋から冬にかけてです。感染症による嘔吐や下痢により脱水となる危険性が高まります。感染症の対策はもちろん、罹患が疑われる際は早めに医療機関への受診を心がけましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。高齢になるにつれて脱水になりやすく、また脱水症は非常に身近であり危険な状態です。高齢者と関わる際は、常に脱水の可能性があること念頭に置き、明日からのケアや看護に活かしていきましょう。
参考
1)髙瀬義昌(監修)/日本看護協会・日本訪問看護振興財団・全国訪問看護事業協会(編). 防ごう!! 守ろう!! 高齢者の脱水. 健康と良い友だち社; 2010.
2)佐野美和(編). 脱水とは?原因と看護のポイントを解説. レバウェル看護 お役立ち情報; 2025-07-15.
3)しろやま病院 栄養科(編). 栄養科だより 〜しろやま健康教室〜 Vol.9:脱水症とは?
4)厚生労働省 あんぜんプロジェクト(編). 尿の色で脱水症状チェック.

