異常呼吸パターンの種類と特徴
本記事では、異常呼吸パターンの種類と特徴、呼吸音の異常(副雑音)についてわかりやすく解説いたします。
正常呼吸の基準値
成人の呼吸数の正常値は、安静時で12~20回/分が目安とされています。
異常呼吸とは?その種類と特徴
異常呼吸とは、大きく以下のように分けられます。
・呼吸量の異常
・呼吸リズムの異常
・呼吸様式の異常
・奇異呼吸
呼吸量の異常
呼吸量の異常は、主に次の2つに分類されます。
・呼吸回数の異常
・一回換気量の異常
呼吸回数の異常
呼吸回数の異常には、以下の3つがあります。
・無呼吸
睡眠時無呼吸症候群や何らかの原因で10秒以上の呼吸停止した状態
・徐呼吸
呼吸数が9回/分以下の状態
・頻呼吸
呼吸数が25回/分以上の状態
一回換気量の異常
一回換気量の異常には、以下の2つがあります。
・低呼吸(低換気)
呼吸調整上の異常により肺に酸素がうまく取り込めず、1回換気量が低下した状態です。
代表的な疾患として、呼吸中枢が抑制されて生じる中枢性肺胞低換気症候群などがあります。
・過呼吸(過換気)
何らかの理由により、過剰に呼吸数が増した結果、体内の二酸化炭素濃度が低下し息苦しさを感じる状態です。
代表的な疾患として過換気症候群があります。身体的異常がないにも関わらず、ストレスや心理的負担により頻呼吸、過換気を生じ、息苦しさなど様々な症状を伴います。
呼吸リズムの異常
呼吸リズムの異常常は、主に次の3つに分類されます。
・周期的な呼吸リズムの異常
・規則的な呼吸リズムの異常
・不規則な呼吸リズムの異常
周期的な呼吸リズムの異常
周期的な呼吸リズムの異常として代表的なものにチェーンストークス呼吸があります。
・チェーンストークス呼吸
浅い呼吸か徐々に深い呼吸となった後、数秒~20秒程度の無呼吸がみられ、その後再び同様の周期を繰り返す周期性呼吸の代表的な呼吸パターンです。
中枢神経系が障害され、呼吸中枢の感受性が低下した場合や脳の低酸素状態の際に見られます。代表的な疾患として、脳血管障害、中枢神経系の障害、尿毒症、心不全、各疾患の末期などが挙げられます。

規則的な呼吸リズムの異常
規則的な呼吸リズムの異常として代表的なものにクスマウル呼吸があります。
・クスマウル呼吸
代謝性アシドーシスに起因する、速く深い規則正しい呼吸パターンです。肺胞換気量を増加させることで動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)を低下させて、糖尿病性ケトアシドーシスや尿毒症などで見られる代謝性アシドーシスを補正するための代償性の呼吸です。

不規則な呼吸リズムの異常
不規則な呼吸リズムの異常として代表的なものにビオー呼吸や下顎呼吸があります。
・ビオー呼吸(失調性呼吸)
ビオー呼吸は失調性呼吸とも呼ばれ、無呼吸と頻呼吸が不規則に繰り返される呼吸パターンです。主に中枢神経系の障害や損傷、髄膜炎において見られ、呼吸中枢の延髄レベルでの脳障害に関連するといわれています。

ビオー呼吸に関する詳しい解説はこちらのブログ「ビオー呼吸とは?特徴と、原因、機序について解説」もご確認ください。
・下顎呼吸(あえぎ呼吸)
死戦期呼吸やあえぎ呼吸ともいわれ、吸気時に下顎が上方へ挙上、呼気時に下がる不規則な呼吸です。呼吸中枢機能の消失により生じます。
呼吸様式の異常
呼吸様式の異常として代表的なものに、以下の3つがあります。
・起座呼吸
起坐呼吸とは、臥位になることで呼吸困難が増強し、起座位または座位で軽減するという徴候です。 一般的に、左心系の機能低下,僧帽弁膜症などによる左心不全、尿毒症で生じます。
・喉性呼吸
ゴロゴロ・ゼロゼロ音を伴う呼吸です。咳反射が消失または減弱し気管・気管支に分泌物が貯留して空気がその間を通ることで生じます。昏睡状態や死戦期呼吸で生じます。
・陥没呼吸
陥没呼吸とは、吸気のたびに胸骨、鎖骨上窩、肋間などが陥没する努力呼吸の一種です。呼吸器系疾患では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息などでみられます。また、乳幼児では、胸壁が柔らかいため、吸気の際に強い陰圧がかかると胸壁が内側にへこみ、陥没呼吸が起こります。
奇異呼吸
日本救急医学会では、奇異呼吸を「①左右が対称的な動きでない、②胸部と腹部の動きが同調していない、③胸郭の一部が他と逆の動きをする呼吸運動をいう」と示しています。交通事故やスポーツ外傷などにより、胸骨や肋骨が骨折し胸郭が不安定になることで奇異呼吸が見られます。
奇異呼吸には、主に以下の2つがあります。
・シーソー呼吸
奇異呼吸の一つで、吸気時に胸部がへこんで腹部が膨らみ、呼気時にはその逆で胸部が膨らんで腹部がへこむ呼吸運動を言います。
窒息、喉頭浮腫、急性喉頭蓋炎など、上気道の閉塞で生じます。

急性期Web講習動画(呼吸困難)から引用
・ フレイルチェスト
胸部が吸気時に陥没、呼気時に膨隆する呼吸で、胸部外傷など3本以上の肋骨が2か所以上で骨折して起こります。
呼吸音の異常
肺音は、呼吸音と副雑音に分類されます。そのうち、異常な所見はすべて副雑音です。
そこから、副雑音はラ音と胸膜摩擦音に分類されます。
ラ音はさらに、断続性副雑音と、連続性副雑音に分かれます。
断続性副雑音は捻髪音と水泡音に、連続性副雑音は笛音といびき音に分かれます。

異常呼吸の検査
異常呼吸を発見した際は、主には以下の検査を行い診断を行います。
・胸部X線
・心電図検査
・血液検査
・血液ガス
・呼吸機能検査
まとめ
いかがだったでしょうか。異常呼吸は深さや速さなどさまざまなパターンで現れます。異常呼吸は病状の重症化を防ぐためにも重要なサインです。異常呼吸パターンの理解を深め、明日からのケアに活かしていきましょう。
参考
- 日本急性期ケア協会編:日本急性期ケア専門士 公式テキスト 第2版, アステッキホールディングス株式会社, 2022.
- 日本救急医学会. 救急用語集.

